認知症の方に適した施設選びとは？相談先とタイミングも解説

認知症の方の生活を支えるためには、適切な施設選びが重要です。症状や家族の状況に応じて、どのような施設が最適なのか迷う方も多いでしょう。そこで本記事では、認知症の方に適した施設を選ぶ際のポイントや、入居のタイミングについて解説します。心置きなく住める環境を見つけるためのヒントをお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

認知症の方が入居できる施設はどこを選ぶべき？

認知症の方が安心して暮らせる施設を選ぶ際には、それぞれの施設が提供するサービスや特徴をしっかり理解することが大切です。以下では、代表的な施設についてその特徴を紹介します。

グループホーム

グループホームは、認知症をもつ方が家庭的な環境で少人数の共同生活を送る施設です。ひとつのグループは最大9人で構成され、認知症ケアに特化した専門職員がサポートを行います。この環境では、認知症の方がもつ能力を活かしながら、必要な支援を受けられるため、穏やかな日常生活を送ることが可能です。ただし、医療ケアや重度の身体介護が必要になった際の対応は事業所ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム（特養）は、少人数制のケアを基本とし、要介護度3以上の方が主な対象ですが、条件次第では要介護度2以下の方でも入居可能な場合があります。看護師が常駐しているため、ある程度の医療的ケアにも対応可能です。特養は、認知症の方が日常生活で必要とする支援を受けつつ、適切な医療ケアを受けられる点が魅力です。

有料老人ホーム

有料老人ホームには介護付きと住宅型の2つのタイプがあります。まず、介護付き有料老人ホームは、24時間体制で介護職員が常駐しており、リハビリ職や看護師も配置されていることが特徴です。これは、認知症の方にとって、充実したケア体制が整っている心強い住まいとなります。次に住宅型有料老人ホームは、併設された訪問介護事業所などから必要に応じてヘルパーが派遣される仕組みです。自立度が比較的高い方や軽度の介護が必要な方に適しています。

サービス付き高齢者向け住宅

バリアフリー構造の賃貸住宅で、生活相談員が日中常駐し、安否確認や生活相談に応じてくれます。ただし、主に自立した生活を送れる方を対象としている場合が多いため、認知症の症状が進行している場合の対応については事前の確認が必要です。

施設選びの際は誰に相談する？

認知症の方に適した施設を選ぶ際、どこに相談すればよいのか悩む方も多いでしょう。家族だけで判断するのは難しい場合も多いため、信頼できる専門家や情報源に頼ることが大切です。以下では、主に利用される相談先について紹介します。

ケアマネジャーに相談する

ケアマネジャー（介護支援専門員）は、介護保険サービスを利用する際の相談窓口として頼りになる存在です。認知症の方に合った施設やサービスを提案し、本人や家族の希望を踏まえたプランを作成してくれるでしょう。また、地域の施設や事業所についての知識が豊富で、施設の特徴や費用についても具体的なアドバイスを受けられる点がメリットです。信頼できるケアマネジャーと密に連絡を取ることで、より適切な選択が可能となります。

インターネットを活用する

最近では、インターネットを利用して施設の情報を調べることも一般的になっています。各施設のホームページや口コミサイトでは、施設の設備、サービス内容、料金などの詳細が確認できます。また施設探し専門のポータルサイトでは、地域や条件を絞って検索することが可能です。ただし、ネット上の情報は一部が古かったり偏っていたりする場合もあるため、信憑性を見極めることが大切です。必要に応じて直接問い合わせることで、より正確な情報を得られます。

認知症の方を施設に入れる最適なタイミングとは

認知症の方を施設に入れるタイミングは、家族にとって悩ましい決断です。ここでは、施設入居を考えるべき主なポイントについて説明します。

家庭での介護が限界を感じ始めたとき

認知症の方の介護は、家族にとって想像以上に大変なものです。夜間の徘徊や頻繁な呼びかけへの対応が続くと、家族の生活リズムが崩れ、日中の仕事や家事に影響が出てしまいます。また、認知症特有の行動や言動に戸惑い、精神的な負担を抱えるケースも少なくありません。家庭での介護が限界を迎えつつあると感じたら、専門的なケアを提供してくれる施設の利用を検討するタイミングといえます。

認知症の症状が進み介護の手が足りなくなったとき

認知症が進行すると、日常生活におけるサポートがより必要になります。排泄や食事の介助が増えたり、暴言や暴力などの症状が現れる可能性もあります。家族だけではこうした状況に対応しきれず、ストレスが溜まる場合も少なくありません。専門知識をもつスタッフがいる施設に入ることで、認知症の方に適切な支援を提供できるため、症状の進行が見られたら選択肢のひとつとして考えるのがよいでしょう。

まとめ

認知症の方に適した施設選びは、本人の症状や家族の状況に合った最善の選択をすることが重要です。施設にはそれぞれ特徴があり、提供されるケアやサポート体制が異なるため、しっかりと情報を収集し比較することが求められます。また、ケアマネジャーやインターネットを活用して専門的なアドバイスや正確な情報を得ることで、より良い決定が可能となります。さらに、家庭での介護に限界を感じたときや認知症の症状が進行した際、あるいは介護者自身の健康に影響が出始めたタイミングで施設入居を考えることは、認知症の方と家族双方の生活を守るために大切です。適切なタイミングで適切な支援を受け、穏やかな生活を送るための選択を心がけましょう。