日本は世界的に類を見ないほどの加速度で高齢化が進んでおり、今や超高齢社会といわれています。その背景には日本人の高寿命化と少子化があり、介護問題や福祉問題について熟考していかなければなりません。そこで、今回は介護施設に入るための条件や基準、さらに特徴について解説します。
要支援・要介護度
日本の高齢化率の上昇は深刻化しており、世界でも類を見ないほどの超高齢社会となっています。それに対応するべく、さまざまな居住施設が浸透しており増加傾向にあります。
というのも、日本では共働き世帯が増えており、自分の親の介護に時間を取れないといった背景があるのです。とくに仕事などが理由で物理的に距離があることから、実家にいけないといったこともあるでしょう。
そこで、さまざまな企業が高齢者向けの居住施設を建設し、さまざまなサービスを展開しています。ただし、入居したいところがあったとしても、条件をクリアしていなければ利用できません。
入居条件の一つに要介護度というものがあります。そもそも、要介護度というのは各自治体に設けられた要介護認定調査に基づいて決められており、主任ケアマネや医師、相談員などが審議を行って決めています。
その背景には2000年に制定された介護保険があります。介護保険というのはあくまでも自立支援を目的としているので、完全介助ではなく、あくまでも介護することによって利用者の自立を促すというものです。介護保険を採用している国は世界的にも珍しく、福祉国家といわれているスウェーデンやデンマークでも採用されていません。
福祉国家として広く知られている北欧は高福祉高負担といわれています。つまり高い税率によって福祉に充当できる財源を確保しており、すべての国民に平等な福祉サービスを提供することが可能なのです。そのため保険という制度を取る必要がないといえるでしょう。
日本の場合、人口規模の違いから税率を上げて税収を確保したとしてもすべての国民に対して平等な福祉サービスの提供が難しいとされています。したがって、介護保険という世界的にも特殊な方法で福祉サービスを展開しているのです。
日本と同じように高齢者に関する保険が制定されているのは韓国であり、韓国もまた高齢者問題をかかえています。これから高齢化率が増加することが予想されており、今後も居住施設問題について熟考しなければなりません。
ただし、あくまでも介護保険法に基づく福祉サービスの提供が優先されます。つまり、すべての人が平等にサービスを受けられるのではなく、法律の基準に満たしているかどうかが重要なポイントとなるのです。
入居者の年齢
年齢が若い場合は入居断られる可能性が高いです。現状では、65歳以上の方しか入居できない場合が多いでしょう。ただ、法令で決められている特定疾患に該当する場合は、40歳から利用可能な場合もあります。
しかし、いくら介護が必要だからとはいえすべての条件に満たしていなければ利用すらできません。そのため、最近は年齢制限を設けていない運営会社も珍しくないのです。
介護が必要になるタイミングによっては年齢制限に引っかかる場合もあるでしょう。だからといって、70歳や80歳になったタイミングで施設を探すのは時間と労力がかかってしまいます。
ましてや近くに親族がいない場合は施設探しにハードルを感じてしまうこともあります。そのため、最近は年齢が若い内から入居予定に施設を調べることも少なくなく、介護に関心を持っている人が増えているといえるでしょう。
医療ケアの必要性
ホームヘルパーや介護福祉士が医療行ためを行うと法律によって罰せられます。たとえば、糖尿病の治療に必要なインスリンの注射、人工呼吸器の管理、バルーンカテーテルの管理などが挙げられるでしょう。
ただし、喀痰吸引や経管管理といった限定的な処置に関しては、研修を受けた介護福祉士であれば対応可能です。入居を検討している方が日常生活においてどの程度の医療ケアが必要かどうかでも、受け入れの可否が変わってくるでしょう。
糖尿病を患っている方が施設の利用を検討する場合、看護師が常に常駐しているところにしか入入れません。命にもかかわる重要なポイントといえるでしょう。
保証人・身元引受人の有無
入居者が施設費用を支払えなくなった場合、誰かがその費用を負担しなければならなくなってしまいます。たとえば、入居者に支払い能力がなくなった場合や入院や死亡などが原因で、支払うのが現実的ではなくなった場合に保証人に支払い義務が課せられます。これについては一般的な賃貸住宅と同じなので、驚かれる方も少ないでしょう。
一般的な賃貸住宅の場合であっても入居者からの支払いが滞ると保証会社や保証人が負担するようになっています。高齢者向けの居住施設についても同じシステムが採用され、支払いが確認できない場合は施設を運営している会社や管理会社から利用料の請求があるでしょう。
収入や支払い能力
貯金がまったくない状態で契約金すら払えない場合は入居できません。また、年金受給者であっても利用料を払える額を受給していなければそもそも入居基準に満たないため施設利用はできないでしょう。
ただし、年金のほかに資産や有価証券などがある場合は運営会社による審査が行われ、入居できる場合もあります。そのほか、預金が充分にあるかも審査される場合もあり、運営会社によっては通帳を確認する場合もあるでしょう。
なお、万が一料金を支払えなくなってしまったら、保証人に料金が請求されます。3か月以上、料金の未納が続くと退去勧告を出されるケースもあります。保証人は何らかの対応をしなければならなくなるので、入居前に料金トラブルにならないかを慎重に確認しなければなりません。
日本は超高齢社会といわれており、世界的にも類をみないほどの高齢化率を維持しています。さらに、さまざまな企業が高齢者向けの居住施設を建築してサービス運営を行っています。
ただ、入居を希望していても基準に満たない場合は希望が通らない場合もあるでしょう。というのも、介護施設というのはボランティア施設ではなく、あくまでも有料で利用する施設の一つです。したがって、一般的な賃貸住宅とほとんど同じともいえるでしょう。
また、家族がいるかどうかや本人の健康状態ならびに資産によって審査基準が異なるので、希望に合った施設選びを行うのがおすすめです。