大切な家族の介護が必要な場合、老人ホームへの入居を考えるケースが多いと思います。しかし、何らかの理由で入居が難しい場合もあるでしょう。本記事では、老人ホームに入れない理由と対処法を詳しく解説し、よりスムーズに入居するためのコツを紹介します。これから施設を探す方は、ぜひ参考にしてください。
老人ホームに入れない主な理由
以下では、老人ホームに入れない主な理由を詳しく解説し、どのように対処すればよいのかについても紹介します。介護が必要な大切な家族のために、よりスムーズに老人ホームを選ぶための参考にしてください。
介護度による優先順位
老人ホームのなかでもとくに入居希望者が多い「特別養護老人ホーム」は、人気がある反面、入居条件が厳しいため、希望者全員がすぐに入れるわけではありません。特別養護老人ホームに入居するには、原則として要介護3以上の認定が必要です。
要介護度は、介護がどれだけ必要かを7段階に分けて数値化したもので、要支援1から要介護5までがあります。要介護度が低いと入居の優先順位が下がるため、待機者が多い特別養護老人ホームでは入居が困難な場合がよくあります。
要介護3以上の方は、日常生活全般に介助が必要となり、特別養護老人ホームで優先的に入居が可能になりますが、要介護1や2の方は、ほかの施設を探す必要が出てくる場合があります。
スタッフ不足による入居制限
老人ホームの施設数は増加していますが、入居できる人数には限りがあります。人数制限がある大きな原因のひとつが、スタッフ不足です。
高齢者が増える一方で、介護スタッフの確保が追いつかず、十分なケアができない状況が生じています。とくに、医療的なケアや看取り対応が必要な高齢者の受け入れが難しく、施設内の人手不足やスタッフの業務負担が大きい場合、新規の入居者を受け入れられないケースが多くなります。
上記のような理由により、入居待ちがさらに長期化してしまうという問題があります。
持病や医療行為の継続が必要な場合
継続的な医療行為が必要な高齢者の場合も、施設の受け入れが難しくなる可能性があります。たとえば、糖尿病でインスリン注射が定期的に必要な方や、呼吸器疾患を抱えており、酸素吸入などの医療ケアが欠かせない方の場合、老人ホーム側が対応できないために入居を断られる場合があります。
こういったケースは、施設のスタッフが医療行為に対応する余裕がない場合や、医療設備が整っていない施設が多いためです。
入居を断られた場合の対処法
以下では、入居を断られた際の対処法を具体的に紹介し、スムーズに老人ホームへの入居を進めるためのポイントをお伝えします。
拒否の理由を確認する
老人ホームから入居を断られた場合、まずはその理由の確認が重要です。施設側が入居を拒否する理由としては、医療的な対応が難しい場合や、介護度が規定に達していないなどが挙げられます。
断られた原因を明確にすることで、場合によっては解決策が見つかる可能性があります。たとえば、医療行為に関する問題であれば、主治医に相談して対処方法を変更できる可能性があります。
処置が簡易なものに変更されると、施設側が受け入れやすくなる場合もあるため、まずは拒否の理由をきちんと確認し、改善策を模索してみましょう。
別の施設を検討する
ひとつの施設で入居を断られたとしても、すべての老人ホームが同じ基準で運営されているわけではありません。施設ごとに入居条件や対応可能な医療ケアの範囲は異なるため、別の施設では受け入れられる可能性があります。
入居を希望する施設を複数検討し、ケアマネージャーや入居相談員への相談も有効です。
経済的な支援制度を活用する
経済的な理由で老人ホームへの入居が難しい場合は、国や自治体が提供している支援制度の活用を検討しましょう。たとえば介護保険負担限度額認定制度や生活福祉資金制度を利用すると、食費や居住費の一部を軽減でき、金銭的な負担が減少します。
入居しやすい施設の選び方
以下では、入居のハードルが低く、自由度の高いサービス付き高齢者向け住宅や、経済的な負担が少ないケアハウスなど、選びやすい施設について詳しく解説します。どのような条件で施設を選ぶべきか、参考にしてください。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、比較的入居しやすい施設のひとつとして知られています。サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸住宅として提供されており、基本的には高齢者が自由に生活できる環境が整えられています。
介護が必要な場合には、必要に応じた介護サービスを受けられる点が大きな特徴です。
ケアハウス
ケアハウスは、経済的な負担が少なく、とくに単身の高齢者が気兼ねなく暮らせるような環境が整っている施設です。軽費老人ホームに分類されるケアハウスは、利用者の経済状況や健康状態に応じて、柔軟なサービスを提供しています。
一般型のケアハウスでは、日常生活のサポートが提供され、生活に困難を抱える高齢者でも心置きなく生活ができるでしょう。
まとめ
老人ホームへの入居は、家族や本人にとって重要な選択です。一度施設に断られた場合でも、断られた理由を確認し、対処方法や改善点を考えながらほかの施設を積極的に検討することが大切です。また、経済的な支援制度の活用により、入居がスムーズに進む可能性もあります。しっかりと情報を集め、最適な施設を見つけ、大切な家族が長期にわたって心置きなく過ごせる環境を整えましょう。