日本は高齢化が社会問題となっていますが、家族や自分自身の老後の過ごし方について考えている方も多いのではないでしょうか。老後に住む場所や保険などを検討するケースがありますが、その際に知っておきたいのが、介護度に関する内容です。そこで本記事では、介護認定結果ごとの違いや利用可能なサービスの違いについて解説します。
要介護と要支援の具体的な違い
年齢を重ねるにつれて、老後の生活に不安を感じている方も少なくないでしょう。また、親や親族の介護について検討している方も多いのではないでしょうか。
個人で高齢の家族のサポートをすることも可能ですが、仕事や住んでいる場所によっては難しいケースもあります。そこで、国や社会全体で、生活のサポートが必要になった高齢者を支えようとする仕組みが介護保険制度です。
介護保険には40~64歳の人が加盟しており、健康保険組合によって保険料が異なります。基本的に65歳以上になれば全員が被保険者証を受け取れ、保険制度の利用資格を得られます。
ただし、被保険者証を持っているだけで保険を利用できるわけではなく、保険が適用されるかどうかの審査に通過しなければなりません。その際に必要になるのが、介護度の認定です。
認定結果は主に3つの種類に大別できます。たとえば、自立は名前の通り自立した生活が送れる状態です。そのほかの認定結果の場合、一人で生活を送るのがむずかしい状態を指します。なお、必要とするサポートの内容によって認定結果が変わります。
要支援は、日常的な生活は送れるが、多少のサポートが必要な状態を指します。一方、要介護は日常生活においても何らかのサポートを必要とする状態を指します。なお、要支援は1・2、要介護は1~5まで細かく段階が分けられており、段階ごとに適用される保険の内容が異なります。
もちろん、認定を受けていない状態でも介護を受けられますが、全額自己負担となります。さらに、認定を受けても保険外のサービスを受ける場合は、費用を全額負担しなければなりません。
要介護に認定されるためには?
介護認定を受けるためには、要介護認定と呼ばれる審査を受けなければなりません。申請ができるのは本人または家族に限定されていますが、状況によっては親族や地域包括支援センターの職員などが申請できます。
申請に必要なのは、65歳以上の場合、介護保険被保険者証、申請書、マイナンバー、主治医の診察券です。本人・家族以外が申請する場合は、委任状や印鑑、代理人の身分証が追加で必要となります。
申請に必要なものが揃っていれば審査を行けられますが、審査は1次・2次があります。両方の審査が終われば正式な介護度が確定しますが、審査結果がでるまでにはある程度の時間がかかるので注意しましょう。
審査は、市町村の職員が本人の自宅を訪問して行われ、3つの項目に関して調査が行われます。3項目というのは、概況調査・基本調査・特記調査があり、概況調査では本人の基本的な状況に関して確認が行われます。家族構成や通院の頻度などが具体的な内容となります。
一方、基本調査では、日常生活に必要な基本動作が可能かどうかのチェックが行われ、認知機能や身体機能、精神状態などについて74項目のチェックを受けます。
一次調査では、医師の意見者や市町村の職員による審査結果を元にコンピューターで判定結果を出しますが、あくまで仮の結果となります。そして、二次調査では、一次調査の結果を元に介護認定審査会が審議を行い、介護度を正式決定します。
介護度ごとの利用可能なサービス
細かく認定の段階を分けているのには理由があり、結果によって受けられるサービスの内容が変わるからです。たとえば、要支援では自宅訪問や入浴の補助などのサービスを受けられますが、夜間対応型訪問介護や定期巡回などのサービスは受けられません。一方、要介護に認定されれば、基本的にほとんどのサービスを保険の範囲内で受けられます。
ただし、利用できる頻度は段階によって異なるため注意が必要です。あくまで目安ですが、要支援1の場合、訪問型と通所型のサービスを週1回受けられるのに対し、要介護1の場合は訪問介護週3回、訪問看護週1回、通所リハビリ週3回受けられます。つまり、段階によって受けられるサービスの内容や頻度が変わるのです。
また、審査を受ける際は、正しく状況を説明するようにしましょう。きちんと状況が説明できないと、本来の状況よりも軽い認定結果になってしまい、必要なサービスを受けられなくなってしまう可能性があります。
どのような介護度の認定を受けるかによって利用できる保険の内容が異なります。また、審査の結果がでるまでに時間がかかるため、いざ介護が必要になってから申請をするのではなく、事前に準備を進めておくようにしましょう。なお、審査を受ける際は、正しく状況を伝えるのが重要です。症状や状態を軽めに伝えてしまうと、本来受けられたはずの介護サービスが受けられなくなってしまう可能性があります。